読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ワザリング・ハイツ -annex-

どんなに忙しい毎日でも、紅茶を飲んで、ほっとひと息。

寺山修司『寺山修司少女詩集』

文学(Literature)-寺山修司 文学(Literature) 文学(Literature)-日本文学


「職業は寺山修司」という本人の言葉が残っているように、寺山修司は実に様々な分野で活躍したひと、らしい。というのも、詩作品以外に彼の創作に触れたことがないため、他のことはちょっとわからない。ただ、この詩集を読むと彼がいかに慧眼であったのかはよくわかる。


 言葉で
 一羽の鷗を
 撃ち落とすことができるか
 (「けむり」より)


言葉の力を問いかけるのに、寺山はこうした表現を用いる。言葉がいかにひとを傷つけるものか、そのことについて考えたひとはたくさんいるはずだが、言葉で鷗を撃ち落とせるか、を問うたひとはおそらく寺山ひとりだけであろう。


 私が捨てた言葉は
 きっと誰かが生かして使うのだ
 (「ひとりぼっちがたまらなかったら」より)

寺山の“言葉”という語を、他の語に置き換えてみてもいい。たとえば“感情”はどうだろう。「私が捨てた感情は/きっと誰かが生かして使うのだ」とか「感情で/一羽の鷗を/撃ち落とすことができるか」などとなる。一種の言葉遊びであるが、こうすれば、言葉そのものがもつ多面的な性質を充分知った上で寺山がこうした詩を組み立てていることが理解できよう。

“言葉”が“感情”ととり代えられるという事実は、言葉が感情を伴うものであることも示唆している。みなさん、好きずきに?言葉?をとり代えて彼の詩に当て嵌めてみたらいかがだろう。きっと新しい発見があるはずである。