ワザリング・ハイツ -annex-

どんなに忙しい毎日でも、紅茶を飲んで、ほっとひと息。

『CROSS†CHANNEL』 の検索結果:

私のノベルゲーム入門Ⅰ「導入篇」 第二夜

…003年に発表された『CROSS†CHANNEL』では、ループそのものを主題として前景化し、非連続の連続である多世界の亀裂を「観測する」までを、人物たちのリアルとして切りだしてゆく。複数の人物とその時々で関係を結びながらも、ひとつの貫徹した物語として成立しやすいという点から、ループ作品はその後いくつものノベルゲームに受継がれた範型とも言える形式である。ここでの「反復」は言うまでもなく「差異のある反復」であり、似て非なる物語/現実の増殖をも意味し、ノベルゲーム作品自体を表象する…

私のノベルゲーム入門Ⅰ「導入篇」 前夜

…らminori作品や『CROSS†CHANNEL』といった物語に出逢い、木村敏に理論を借りながら、現存在分析によって作品を読んでゆくことになる。私にとっての本格的なノベルゲームの旅はまさにここからはじまった。 私の知る限り、矛盾的自己同一と精神病理を深く追求した物語がこれだけ多く見られる分野は、ノベルゲーム以外にはない。それはユーザーの層によるところも多分にあるとは思うけれど、これらが非常に現代的でかつ日本的な息苦しさのなかで生まれてきたものだという印象はたしかにある。それに…

私のノベルゲーム10選

来年度からふたたび戦場に赴く自身への手向けとして、これまでプレイしたノベルゲームから甲乙つけがたい10作品を選び、褒めちぎっただけの記事。一人称的な思い出語りで所感をたれ流してゆきます。ゲーマーの常識である思い出補正満載。ここ数年のノベルゲームのレビューをまとめる目的もあり、作品紹介のあとには各記事へのリンクを貼ってあります。なお掲載順序は適当で、順位とは関係がありません。あしからず。 ●ぼくのたいせつなもの 『らくえん』をクリアするとできる付随作品でありながらも、その信じが…

『水葬銀貨のイストリア』: CG Commentary I

…という言葉とともに、『CROSS†CHANNEL』では「自分のために、人を大切にして構わない」という言葉を伴って展開された主題。翻ってみるならば、自分を大切にしない人間は他者を大切にできない人間だ、ということになろうか*。自己と他者それぞれに向きあうことが、このように同一視されるというのは、私にとっては至極納得できるものであった。また同じ主題が紫子によって、「わたしくにとって、都合がいいかどうか。物事の判断基準は、常にそこにありますから」と別の角度から捉え返されるところも、本…

2017年下半期レビューまとめ

…なってゆくが(同年の『CROSS†CHANNEL』など)、誰もが得心するような日常的な感情の変化を捉えて、その主題をまっすぐに描いた点で本作は大変興味深く感じた。 sengchang.hatenadiary.com ●『ナルキッソス0』 7F創設の歴史が語られる本作『ナルキ0』では、境界の主題をもとに、「去る者」と「残される者」の矛盾した関係が切々と語られる。ナルキッソスシリーズに親しんだ読者だからこそ、本作を最後にプレイしたうえで、過去作品に一貫した主題とふたたび向きあって…

『天使のいない12月』を読む(感想・レビュー)

…●生きるための疎隔 『CROSS†CHANNEL』よろしく、生きるためにゆがんだ若者たちが織りなす物語であり、あともう一歩で離人症状が出るであろう重度の疎隔を主題とする。主人公はひとまず措いておくとして、雪緒の離人感覚の根底には強く現実を拒む姿勢がある。離人症患者がしばしば「治りたくない」と主張するように、彼女もまた、実は普通の情緒をとり戻すことを強く拒絶する気持ちをもち、それがいかに解決されるかが本筋の要となった。 雪緒の場合、ペットロストがひとつの要因として語られ、このあ…

『腐り姫』を読む 前夜(感想・レビュー)

…う。本作の一年後には『CROSS†CHANNEL』が発表されており、本作と展開が非常に似ていることも、ここであえて指摘しておきたい。ひとりひとりが五樹と関係して“還ってゆく”ところは、発想としてまったく同一であり、とても興味深い符合であると感じた。構成と主題の照応という点から見れば『CROSS†CHANNEL』よりも『腐り姫』のほうが何枚も上手である。ただ物語というのはなにも総合的な評価だけに価値があるわけではない。というのはまた別の話。 音楽や演出、一枚絵の使い方も一級品で…

エロゲーブロガーへの66の質問

… PUPPIES』 『CROSS†CHANNEL』 6. 好き・応援しているブランドは? ウグイスカグラ、Purple software、minori わりと自分に合うブランドらしいことが最近わかってきたので。でも基本的にブランド買いはしない。 7. 好きなシナリオライターは? 瀬戸口廉也 ルクル 8. 好きな原画家は? 南浜よりこ 狗神煌 柚子奈ひよ あまりに多すぎて挙げきれないが最近だとこんなところだろうか。 9. あなたがエロゲーに求めている物は? 世の常識に囚われない…

『生命のスペア』を読む(感想・レビュー)

…次は言う。彼の言葉は『CROSS†CHANNEL』の有名な一節、友情は――あるいは正しい愛し方とは――見返りを求めないことだという、あの言葉を彷彿とさせるものであった。「自分のために、人を大切にして構わない」という太一の心を、本作では竜次がひき継ぎ、さらに恵璃へと渡してゆく。 他者への想いというのは少なからず自身の自己を保持するためのものであって然るべきである。『紙の上の魔法使い』などでも描かれたこの主題は、自己と他者の関係における根源的な問題であり、他者だけではなく世界に対…

『罪ノ光ランデヴー』真澄あいルートを読む(感想・レビュー)

…かれたものであった。『CROSS†CHANNEL』でみみ先輩が終わらない作業を故意に延々と続けたように、決して完了することのない優人と結びつく未来を見据え、彼女は罪の物語にすがりつこうとしてきたのである。こうした罪責体験や関係妄想から抜けだす契機として、父の過去が明らかになったり、優人が火をつけたりする、陳腐だと批判もされた出来事が埋めこまれているのだけれど、精神病理の臨床の見地からすれば、それが普通のことだとも言える。重大な事件が当人をゆさぶり病を抜けだすきっかけとなるほう…

2016年上半期レビューまとめ(アニメ・ノベルゲーム)

…涼宮ハルヒの消失』、『CROSS†CHANNEL』などにも適応できるものだった。まだ別の主題でも書けそうなのでそのうち書くかもしれない。 『クラナド』を読む(Reading CLANNAD) ●『12の月のイヴ』みずかルート 元の人格が新しい人格に呑みこまれてしまうところがこのルートの要。自分の好きになったみずかの人格が消えるのを、どの人格もみずかだから、と受けいれる主人公の姿勢は、安易な人格統合を避ける思い切った結論に物語を導く。話そのもので言えばむしろ杏鈴ルートのほうが好…

『CROSS†CHANNEL』を読む(感想・レビュー)

…ってしまう。 しかし『CROSS†CHANNEL』はやや異なった事情を扱っていて、彼らのゆがみは先天的なものではなく、身を護るために否応なく獲得したゆがみである。社会のなかで生きてゆくため彼らはゆがみを身につけたのであり、皮肉なことに、そのせいでむしろ他者とうまく関係することができなくなってしまった。本作は非現実からの脱出を目的とする慣習的な物語だが、みなから忌避され恐れられる黒須太一と関係しなければそこから脱することができないという、いわば皮肉を逆手にとったつくりとなってお…

『涼宮ハルヒの消失』を読む(感想・レビュー)

…非現実であることだ。『CROSS†CHANNEL』などにおいても、まずは元の世界というものが存在し、そこへ戻ることが物語の筋となるのが普通である。これを根底から覆し、『消失』においてキョンが戻る先は超能力や時間移動が可能である非現実世界であり、それが現実として受けいれられている狂った世界であった。 ここには奇妙な循環構造が見出だせる。非現実世界からの脱出先が別の非現実世界となる『消失』では、いわゆる世界全体が脱出不可能な非現実空間となっており、どの世界からどの世界へ移動しよう…

『クラナド』を読む 第二夜

…流行するのも(*)、『CROSS†CHANNEL』や『素晴らしき日々~不連続存在~』の人気があるのも、ジャン・リュック・ゴダールの映画が重要視されるのも、語られない余白になにかを書きこみたくなる衝動を作品から受けるからにほかならない。 *加藤典洋の『村上春樹イエローページ』シリーズはその典型である。典型だけれどとても面白い。 『クラナド』も例外なくそういった特徴を持つ作品である。しかしこの作品を考えるにあたっては時間軸が少々窮屈なものに感じられた。たとえば≪幻想世界≫は時間を…